血液型と性格の関連については、メディアやインターネットの記事では、「根拠なし」とばっさり言い切られることが多いが、それでも、本当に関連がないのか気になるので考察してみたい。
まずは、野村総研のホームページより。野村総研では、様々な調査・研究を行っており興味深い。その中に、血液型に関する短いレポートがあった。質問によっては、血液型と行動に有意差のある質問項目があったというものである。

消費意識項目ということで、比較的具体的な質問になっているように思われる。このグラフから私の所見は、A型は見栄っ張りで流行に流されやすい。O型は意外と特徴がない。B型は先の事を考えない。AB型は変わっている。これを他人に言うと確実にブラハラ(ブラッド・ハラスメント)になるので絶対に言ってはならない。しかし、一部を除いて血液型性格診断に近いような気がする。ただし、有意差といっても、32項目のうちの5項目のみであるし、それぞれ数パーセントの差しかないので、これで性格を言い当てるのは難しそうだ。
ちなみに、「血液型と性格の無関連性」と題した京都文教大学の縄田健悟氏の論文は以下のサイトにあるが、野村総研のものに比べて質問項目は抽象的過ぎるように感じる。
質問項目
1. 日頃の生活の中で充実感を感じている 15. お金のことを考えるのははしたない
18. 老後が気にかかる など
社会人になればスケジュールを管理したり、時間を守ったりと、学生時代以上に様々な面で几帳面にならなければ社会人失格の烙印を押されかねない。行動が変化した人も多いはずだ。管理職になればなおさらである。学生なのか社会人なのか、また年齢によってもアンケート結果が変化する可能性がある。
また、病気を経験することで健康に気を付けるようになったり、衛生に気を付けて慎重になる可能性がある。経験によって変化しやすい特性についての質問は性格を図るアンケートには適さないだろう。
血液型と性格に関連がなければ、どのようなアンケートでも有意差は生じないはずである。有効なアンケート項目の設定が必要である。
次に、自然科学的なアプローチとして遺伝との関連を考える必要があるだろう。
遺伝と性格の関連についても、ハラスメント、人権問題にならないように配慮が必要であるが、以下のようなサイトもある。共有環境とは、主に家庭、非共有環境とは主に家庭以外の環境による影響のことである。この研究では、性格や行動は遺伝するとしている。


また、遺伝による形質は独立(別々に遺伝する)しているものもあれば連鎖(伴って遺伝する)しているものもある。ショウジョウバエの眼の色と羽の長さは同じX染色体上にあるため連鎖しやすい。
赤血球の抗原は脳の機能に作用しないということもよく言われるが、そうではなく、血液型の形質に連鎖して遺伝する可能性はないかということである。
もし、性格に関連する形質が非対立(どちらか一方しか現れないわけではない)でなければ、血液型はA型、B型、O型、AB型の4種類ではなく、A型はAA型とAO型、B型はBB型とBO型に分けて調査すべきかもしれない。野村総研のグラフでO型があまり特徴的な傾向を示さないのは、A型、B型の特性が、AO型、BO型の存在によってO型の特性に近づいている可能性はないだろうか。
今後、分子生物学の分野から関連性が明らかになる可能性もあるが、とにかく血液型の話題は慎重に。
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